だってあの女は…?
私はキョロキョロと周りを見渡したが、あの女はいない
片桐の腕にもひっついてないし
「…なんでここに?」
「お前が遅いからって迎えに行けって言われた」
「…あの女は?」
「あぁ、千鶴は帰ったよ。元々、今日はただ旅行の最終日だったから遊びに来たらしいし」
「ふーん」
変なの、あの女はいなくてホッとしてるし
私はそう思いながら、また歩き始めた
「お前、こんなとこまでどこ行ってたんだよ」
「図書館よ、図書館!!」
「うわ~、よくあんなとこに何時間もいられるな。俺なんて20分で出るし」
「あんたは貴重な馬鹿猿なのよ」
こんないつもとあまり変わらない会話なのに、私の心はドキドキしていた