コイッペキ

時は遡って、昨晩のこと。
ホタルは、ヒナとチューキチを部屋に招いた。
「チューキチ君、ヒナを利用したね」
一言。
ホタルの言い方は冷たかった。
チューキチは「あ…」と声を漏らした後。
暫く黙り込んだ。

「ヒナも気づいていたんだろ?」
「気づいていたというか…、昨日気づいたというか…」
ヒナが口をもごもごさせていると。
チューキチはいきなり「すんません!」と頭を下げた。
ベッドの上で土下座したのだ。

「ずーと、君はヒナを利用していたわけだ?」
「ちょっと、ホタル。言い方ってもんがあるでしょ?」
あまりにもホタルが怖い言い方をするので。
ヒナはホタルを睨んだ。
「好きな人に近づくために、ヒナを利用する。これまで多くの男がやってきたことだ」
ふぅーとホタルはため息をついた。
「ホタル、怒らないでよ」
「ヒナ。おまえは優しすぎないか? いいように利用されたんだぞ」
「利用なのかな? チューキチ君の場合は違うんじゃないの?」
「いや、俺が全部悪いっす。ホタルさんが怒るのは当たり前っす」

顔を上げて、チューキチは申し訳なさそうにヒナを見ていた。

ヒナは小ホールでチューキチのスマホの手帳型ケースに挟まっていたものを思い出していた。
今時、珍しく写真が挟まっていた。
…エマの写真だった。
恐らく、隠し撮りだろう。エマが笑いながら歩いている姿。
「チューキチ君。スマホに挟んでいて、よくバレないねー」
急にホタルが言ったので。
ヒナは自分の頭の中を見透かされたかと思ってビックリした。
「まぁ。俺はあらゆる人脈から、君は要注意人物だと前々から注視してはいたけど」
あらゆる人脈…と聞いて。
ヒナは、またかよ。
と、心で突っ込んだ。
ホタルの人脈の広さには脱帽するしかない。

「いつも、スマホに写真を挟んでるわけじゃないっすよ」
そう言うと。チューキチは、スマホのケースから。
写真を取り出した。
エマの写真を見つめているチューキチは、恋する乙女そのものだった。

「箕輪っち。ごめんっす。結果として俺は箕輪っちに酷いことをしてた」
「チューキチ君…」
「話を聞かせてもらおうかな」
そう言って。ホタルは立ち上がって。チューキチの隣に座った。