コイッペキ

翌朝。
眠い目をこすって。
何とかベッドから這い上がって身支度をする。
5時半には礼拝堂に行かなくてはならなかった。

エマを起こさないように。
静かに動き回っていたヒナだったが。
「ヒナちゃん、どこに行くの?」
エマに見つかってしまった。
「エマ、おはよー。ちょっと自主練に…」
「私も行くよ。ちょっと待ってて」
そう言ってエマが起き上がった。
「やっ…。エマはまだ寝てなきゃダメだよ」
慌てて、ヒナは言った。
「沢山、寝たから大丈夫! 薬も飲んだし。何かイベントがあるんでしょ?」
エマにはお見通しなのだな。
ヒナは思った。

急いで、敷地内にある礼拝堂に向かった。
エマを連れていくことになってしまい。
5時半を過ぎてしまった。
先に礼拝堂に来ていたホタルは「お、エマちゃんも一緒か」と言った。

ミッション系のスクールの為。
敷地内には小さいが礼拝堂がある。
ホタルが適当に理由をつけて。礼拝堂の鍵を手にしてくれた。
「俺は一階で隠れてるから、2人は2階に隠れてな」
そう言って。
ホタルは礼拝堂の裏口を開けてくれた。
「ヒナちゃん、これから何が起こるの?」
階段を駆け上げるヒナとエマ。
2階からは1階が充分、見渡せる造りになっていた。
ホタルは十字架の側にある教壇の裏に隠れた。

「エマ、これから一言も喋っちゃダメだからね」
「…わかった」
充分な説明をしている暇がなかった。

礼拝堂はひんやりとした空気に覆われていた。

ぎぃぃと扉の開く音がして。
誰かが入ってくる。
寝ぐせのついたオレンジ頭がゆっくりと前に進んでいく。
一番前の長椅子に座ると。
独り言のように。
「俺、頑張るっす!」
と大声でチューキチが言い放った。
(頑張れ、チューキチ君)
ヒナは心の中で祈った。