コイッペキ

あの事件以来。
シオンは完全にヒナを無視するようになった。
毎朝、一緒に登校していたのに。
シオンは一人で登校することになった。
帰り道に会うこともなく。
絶対に避けられているなとヒナは感じた。

ここまで、避けられると。
ヒナは一体、自分が何をしたのだろうと自問自答するようになった。
考えても。
考えても。
答えは出てこない。

期末テストの成績は。
勉強会の成果もあって、数学の成績が良かった。
でも、そんなの嬉しくない。
シオンに会って「シオン君のお陰で数学の成績良かったよー」と言うことだって出来ない。
家が隣同士だというのに。
どうして、ここまで顔を見合わせることが出来ないのだろう。
じゃあ、せめて。
同い年だったらよかったのに…

「じゃあね、ヒナちゃん」
校門を通り過ぎて。
いつものように。エマと別れる。
そこに、シオンの姿はない。

ぼぉ…としながら。
ヒナはエマが校舎のほうへ歩いていくのを見つめていた。
(せめて、シオン君と同い年だったらな…)
こんなに避けられたとしても。
同い年だったら、会える確率が増えるのに。
一緒にいる時間が増えるのに。

小学生の頃は。
どうしてシオンと同い年じゃないのか。
あと一年早く生まれていればと。
嘆いたものだ。
同い年になれば、同じクラスになれる可能性だってあるし。
普段、シオンがどんなふうに学校生活を送っているかわかるはずだ。

エマがシオンのことを、ちょいちょい教えてはくれるけど。
自分の目でシオンを見たい。
シオンに会いたい。

中高一貫コースの校舎を眺めて。
ため息をついた後。
ヒナはゆっくりと自分の教室へと向かった。