コイッペキ

だらだらと流れる汗は。
暑いだけなのだろうか。
もしかして冷や汗なのか・・・

カッターを見て。
ヒナはすぐにエマの前に立った。
「エマに酷いことをするのはやめてください」
ヒナが言うと。モデル女子は「はぁ!?」という声を出した。
「あんたは本当に偽善者だね。ま、いいよ。まずはあんたから相手してあげるよ」
そう言って。
モデル女子はふふっって不敵に笑った。
カチカチカチ。
カッターの刃を出すと。
次の瞬間。
ヒナに向かってカッターを振りかざした。
恐怖のあまり目を閉じてしまったヒナだったが。
あ、切れたなというのはわかった。

鋭い痛みが頬に伝わる。
だらだらと血が流れるのも感じる。
ただ、恐怖はなかった。
あ、切られたんだなと今更冷静になってしまっている。

「じゃあ、今度は本番ね。モリエマさん」

そう言うと。
モデル女子はエマのほうへ近寄る。
エマは直立不動で顔面蒼白になっていた。
「助けてください」
「は?」
エマは深く深呼吸すると。
「たすけてくださーい」
響き渡る声で大声を出した。

「何、言ってんの? ここは人目もつかないし。誰も助けにこないよ?」
エマを見て。
モデル女子が笑った。
カチカチカチ。
カッターの刃を出したり戻したり。
まるでエマをもてあそぶかのようにモデル女子はカッターを見せつける。
ヒナは、ヤバいなコレと。
冷静にモデル女子の行動を見ていた。
モデル女子の取り巻きであろう女子2名は静かに何もせず見守っている。

「君たち、そこまでにしようか」

ヒーローというのは。
本当にいるのだなと。
ヒナとエマは思った。