コイッペキ

言ってみるものだな。
と、ヒナは思った。
ダメ元で勉強を教えてほしいと言ったら。
エマはあっさりと、「いいよ」と頷いた。
「シオンには私から話しておくからさ」
エマはそう言ってくれたけど。
シオン君は本当に来るのだろうか。

日曜日。
11時。
場所はヒナの部屋で開催することに決めた。
3日前から掃除を徹底的にして。
何とか人を招き入れるまでに綺麗にした。

そわそわしながら。
スマホを眺めていると。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
「ヒナちゃん来たよー」
エマがニコニコと笑って入ってくる。
「お邪魔します」
と言ってエマの後ろにくっついているのはシオンだ。
(よかったー)
ヒナはシオンを見て安堵する。

5分ほどして。
またインターホンが鳴り。
今度はチューキチがやって来た。
「どうもっす」
私服姿のチューキチに何となく不思議な感覚を覚えるヒナ。
「どうぞ、上がって」
ヒナが案内して。
自分の部屋に招き入れる。

ベッドの前にテーブルを用意して。
4人が座れるようにした。
部屋に入るや否や。
シオンとエマを見たチューキチは「おぉ」と声を出して。
「どうもっす」と頭を下げた。

エマの隣にはシオン。
向かい側にヒナとチューキチが座る。
「えーと、チューキチ君。(モリ)恵麻(エマ)ちゃんとお兄さんの(モリ)紫恩(シオン)くん」
「おぉ。初めまして。俺は中吉(ナカヨシ)(カエデ)って言います」
「……」
緊張しているのか、森兄妹は微動だにしない。
ヒナは高速で(まばた)きをした後。
「じゃあ、勉強会始めましょうか」
と言って。ノートと教科書を開いた。