コイッペキ

職員室に行ってプリントとノートを先生に渡して。
ヒナとチューキチは昇降口へ向かった。
教室は冷房が効いているが。
廊下は、じとっとしていて。
べたべたとした湿気と暑さで。
一気に汗だくになってしまう。

チューキチと喋りながら。
昇降口に向かうと。
エマが誰かといるのが目に入った。
最初は知り合いの人かなと思ったが。
すぐにエマの様子がおかしいことに気づいた。

エマの前に2年生の男子生徒が2人いて。
「遊ぼうよー」と言って。
エマにちょっかいを出している。
…これは、完全にナンパされているんだろうな。

助けなければ…と考えていると。
「おーい、お待たせ」
と急に大きな声を出して。
エマの元にダッシュしていく男がいる。
まさかの、チューキチだ。

「ごめん。待ち合わせ遅れちゃって」
そう言ってチューキチはエマに手を合わせて頭を下げる。
そして、2年生の男子をにらんだ。
「俺の連れに何か用っすか?」
チューキチのに睨みが効いたのか、それともチューキチの見た目の怖さに引いたのか。
2年生の男子2人は「くそっ」と汚い言葉を吐き捨てて。
走ってどこかへ消えて行った。

エマが、へなへなとその場にしゃがみ込む。
「エマ、大丈夫!?」
ヒナが駆け寄ると。
エマは物凄い勢いでヒナに抱き着いた。
「怖かった…」
今にも泣きだしそうなエマだ。

「チューキチ君、ありがとう。エマを助けてくれて」
心配そうにエマを見つめるチューキチにヒナは謝った。
「ほら、エマもチューキチ君にお礼言わないと」
「……」
エマはヒナに抱き着いたまま黙り込む。
「大丈夫っすよ。じゃあ、俺は帰るんで。気を付けて帰ってな」
そう言って。
チューキチは手を振って帰っていく。

「ヒナちゃん、早く来てくれるって言ったじゃん」
「…ごめん、エマ」
エマは震えていた。