コイッペキ

数日経つと。
エマとシオンの体調がよくなったのか。
また3人で登校する日々に戻った。
相変わらず、エマは毎日のようにマシンガントークをして。
その横で無表情で立っているのがシオンという状況だ。

校門を通って。
もう入学して3ヵ月は経つというのに。
エマとシオンは通り過ぎ行く生徒達に指をさされる。
視線を向けられている。
アイドル並のエマとシオンの存在。

教室に着いて。
「おはよう」と言って。
クラスの友達とちょっとお喋りして。
一日がスタートする。
お昼休みはエマと待ち合わせをして一緒にご飯を食べて。
午後の授業がスタートして。
あっという間に放課後になる。
その日は、数学の先生に頼まれて。
宿題のプリントとノートを回収して職員室に運ばなければならなかった。
「あー、俺。数学苦手なんだよね」
一人で行けると言ったのに。
チューキチ君は「重いから」と言って。
ノートの束を運んでくれた。
ヒナはプリントを持って。職員室へ向かう。
「私も苦手かも」
「先生の教え方だとわかりにくくね?」
「確かに」
「誰か、得意な奴いるといいのになー」
チューキチ君の言葉に。
はっと、ヒナはひらめいた。
エマとシオン君だ。
2人はすべての教科が得意だけど。
特にシオン君は数学が得意だって言ってたような…。

「ひーなーちゃん!!」
急に肩をポンっと叩かれて。
振り返るとエマが立っている。
「あれ、エマ? 自習室で待ってるって言ってなかった?」
「自習室だと昇降口からビミョーに遠いんだもん。もう終わるよね?」
「ああ。うん、コレ職員室に持っていくだけだから」
エマにプリントの束を見せると。
エマは「ふーん」と言った。
「じゃあ、昇降口で待ってる。じゃあねー」
エマは手を振って去っていく。

エマの姿をじっと見ていたら。
隣にいたチューキチ君が「すげえ」と言った。
「箕輪っち、モデルさんと友達なんすか?」
「モデル…?」
「さっきの綺麗な子、モデルじゃないんすか」
チューキチの目がキラキラし始める。
「え、チューキチ君。エマのこと知らないの?」
「え!? もしかして女優さんっすか?」
ヒナは心の中で、えーと絶叫した。
まさか、エマのことを知らない人がいるなんて。

あ、でも。一般や進学クラスの人は知らない人がいるのかもしれない。
チューキチを見て、ヒナは思わず笑った。
全生徒がヒナのことを知っているとばかり思っていたのだ。
「なんすか、急に俺見て笑うとか」
「いやぁー、チューキチ君って面白いね」