コイッペキ

いつものようにスマホのアラームで目が覚めて。
身支度をして、
ホタルが作ってくれた朝食を食べて。
弁当をカバンに入れて。
「行ってきます」
と言って、玄関のドアを開ける。
「あれ?」
いつも、玄関前に立っているエマとホタルがいない。
「ん?」
ヒナはスマホを確認して。
森家のインターホンを押す。

がちゃ。
ドアが開いて、出てきたのはエマのお母さんだった。
「あら、ヒナちゃん。ごめんなさいねー。エマもシオンも熱出しちゃって。今日は2人ともお休みさせるわ」
「あ、そうなんですか!? わかりました」
久しぶりに会うエマのお母さんはいつ見ても綺麗な人だ。

エマのお母さんに挨拶をして。
学校へと向かう。
一人で学校へ行くのは初めてかもしれない。
2人とも熱を出すって、やっぱり兄妹だなーと思ってしまう。
エマとシオンはいつだって、同時に体調を崩して。
同じ日に学校を休むことが多かった。

いつもやかましいくらいのエマのマシンガントークがないと。
こんなに寂しいものなのかと、ヒナは気づいた。
イヤホンを出して。
音楽を聴きながら、学校へ向かう。
エマとシオンが一緒じゃないので。
まるで、空気のように。すいすいと前に進んで学校に入る。
いつもは多くの人たちの視線攻撃をくらうわけだが。
凡人の自分なんて、だーれも見てこない。

「おっはよー」
教室に入って。
一日が始まる。