玄関のドアを開けると。
ほぼ同時に。
お隣さんのドアが開く。
「ヒナちゃん、おっはよー」
と、朝からテンションの高い感じで、恵麻が出てくる。
そんなエマとは対照的に。
それはなんとも言い難いぶすっと不機嫌な顔をした紫恩がエマの後ろから出てきた。
「おはよう。エマ。おはよう、シオンくん」
「……」
シオンはヒナを見ようともしない。
3年ぶりに再会した時。
ヒナは緊張しすぎて気づかなかったのだが。
シオンは感情を顔に出さなくなっていた。
それに、気づいたのは。
高校の入学式を終えたあたりからだ。
陽菜と恵麻は同い年。
13年前、2人の住むマンションが新築で建てられて。
一斉に住民として人々が越してきた。
その701号室に越してきたのが森家である恵麻と紫恩。
隣である702号室に越してきたのが箕輪家である陽菜と蛍。
当時、3歳だった陽菜と恵麻。
同い年とあってか、2人はすぐに仲良しになった。
自然とお互いの兄弟とも仲良くなった。
紫恩は恵麻より1歳年上。
蛍は陽菜より3歳年上。
いつも4人で遊んでいた。
「うわぁ。相変わらず森兄妹ってすげーなぁ」
学校の門を通るや否や。
近くにいた男子生徒たちが呟いた。
それを聞いた、陽菜はため息をついた。
「あの2人、ハーフだっけ?」
「いや、クォーターらしいよ」
「芸能人顔負けじゃん」
「兄はカッコよくて、妹は美人とかってさ」
ざわざわざわ。
恵麻と紫恩が2人並んで歩くだけで。
周りがざわつく。
酷い時には指をさされる。
恵麻は気にしていないようだが。
紫恩はうんざりとした表情で。
カバンから眼鏡を取り出して、かけた。
紫恩は学校に着くと必ず黒縁の眼鏡をかける。
恵麻曰く「目立つのが嫌」だからだそうだ。
と、言っても。眼鏡をかけたところで、そのカッコ良さは隠せてないよと陽菜は思う。
陽菜が初めて、恵麻に会ったのは3歳だった。
昔の思い出なのに。
恵麻に会ったことは、はっきりと覚えている。
陽菜の母親がお菓子の箱を持って。
隣の家のインターホンを押した。
陽菜はもじもじとしながら母親の後ろに隠れていた。
ドアが開くと、陽菜の母親とドア越しの女の人がやりとりをして。
それから、母親が陽菜を見た。
「陽菜と同い年の子がいるんだって」
「?」
陽菜は首を傾げる。
すると、玄関の奥から出てきたのは。
テレビCMでよく流れる人形そっくりの女の子だったのだ。
金髪に近い茶色い髪の毛。
とにかく大きな目。
茶色い瞳。
自然にカールされた睫毛。
ピンク色の唇。
真っ白な肌。
日本人離れした手足の長さ。
同じ人間とは、思えない。
この子はお人形さんなのかな・・・と陽菜は思った。
「陽菜ちゃん、恵麻と仲良くしてあげてね」
そう言ったのは、恵麻の母親だ。
陽菜は、じっと。恵麻に見とれていたが。
しばらくすると、今度は玄関の奥から、男の子が現れた。
陽菜は「え」と悲鳴をあげた。
人形の次は王子様が現れたと思ったのだ。
恵麻に似た男の子だった。
金髪に近い茶色い髪。
恵麻に負けない大きな目。
ピンク色の唇。
手足の長さ。
ニコリと男の子が笑うと。
陽菜は「ぎゃー」と悲鳴を上げた。
この感情が何なのか、陽菜にはわからなかった。
今なら、はっきりとわかる。
一目ぼれだったんだ。
ほぼ同時に。
お隣さんのドアが開く。
「ヒナちゃん、おっはよー」
と、朝からテンションの高い感じで、恵麻が出てくる。
そんなエマとは対照的に。
それはなんとも言い難いぶすっと不機嫌な顔をした紫恩がエマの後ろから出てきた。
「おはよう。エマ。おはよう、シオンくん」
「……」
シオンはヒナを見ようともしない。
3年ぶりに再会した時。
ヒナは緊張しすぎて気づかなかったのだが。
シオンは感情を顔に出さなくなっていた。
それに、気づいたのは。
高校の入学式を終えたあたりからだ。
陽菜と恵麻は同い年。
13年前、2人の住むマンションが新築で建てられて。
一斉に住民として人々が越してきた。
その701号室に越してきたのが森家である恵麻と紫恩。
隣である702号室に越してきたのが箕輪家である陽菜と蛍。
当時、3歳だった陽菜と恵麻。
同い年とあってか、2人はすぐに仲良しになった。
自然とお互いの兄弟とも仲良くなった。
紫恩は恵麻より1歳年上。
蛍は陽菜より3歳年上。
いつも4人で遊んでいた。
「うわぁ。相変わらず森兄妹ってすげーなぁ」
学校の門を通るや否や。
近くにいた男子生徒たちが呟いた。
それを聞いた、陽菜はため息をついた。
「あの2人、ハーフだっけ?」
「いや、クォーターらしいよ」
「芸能人顔負けじゃん」
「兄はカッコよくて、妹は美人とかってさ」
ざわざわざわ。
恵麻と紫恩が2人並んで歩くだけで。
周りがざわつく。
酷い時には指をさされる。
恵麻は気にしていないようだが。
紫恩はうんざりとした表情で。
カバンから眼鏡を取り出して、かけた。
紫恩は学校に着くと必ず黒縁の眼鏡をかける。
恵麻曰く「目立つのが嫌」だからだそうだ。
と、言っても。眼鏡をかけたところで、そのカッコ良さは隠せてないよと陽菜は思う。
陽菜が初めて、恵麻に会ったのは3歳だった。
昔の思い出なのに。
恵麻に会ったことは、はっきりと覚えている。
陽菜の母親がお菓子の箱を持って。
隣の家のインターホンを押した。
陽菜はもじもじとしながら母親の後ろに隠れていた。
ドアが開くと、陽菜の母親とドア越しの女の人がやりとりをして。
それから、母親が陽菜を見た。
「陽菜と同い年の子がいるんだって」
「?」
陽菜は首を傾げる。
すると、玄関の奥から出てきたのは。
テレビCMでよく流れる人形そっくりの女の子だったのだ。
金髪に近い茶色い髪の毛。
とにかく大きな目。
茶色い瞳。
自然にカールされた睫毛。
ピンク色の唇。
真っ白な肌。
日本人離れした手足の長さ。
同じ人間とは、思えない。
この子はお人形さんなのかな・・・と陽菜は思った。
「陽菜ちゃん、恵麻と仲良くしてあげてね」
そう言ったのは、恵麻の母親だ。
陽菜は、じっと。恵麻に見とれていたが。
しばらくすると、今度は玄関の奥から、男の子が現れた。
陽菜は「え」と悲鳴をあげた。
人形の次は王子様が現れたと思ったのだ。
恵麻に似た男の子だった。
金髪に近い茶色い髪。
恵麻に負けない大きな目。
ピンク色の唇。
手足の長さ。
ニコリと男の子が笑うと。
陽菜は「ぎゃー」と悲鳴を上げた。
この感情が何なのか、陽菜にはわからなかった。
今なら、はっきりとわかる。
一目ぼれだったんだ。



