コイッペキ

田中君のを口切りに。
ヒナのもとに次々と男が近寄ってきた。
「付き合ってください」
そして、付き合ったかと思えば。
必ず相手の男は、エマのことを尋ねるのだ。

さすがに5人目の男子が。
「箕輪さんの家行っていいー? 隣んちってあのキレーな子の家だよね」
と無理矢理、家にまで着いてきそうになって。
ヒナは落ち込んだ。
クラスメイト、普通コースの男子、一つ上の先輩、他校の男子学生。
ホタルのアドバイス通り。
付き合ってみれば、
全員。エマ目当てだった…。

何故、忘れていたのだろう。
ヒナは崩れ落ちた。
北海道に行って完全に忘れていたのだ。
自分のもとに寄ってくる男はたいてい、エマ目当てなのだ。

エマはガードが、かたい。
幼いころ、知らない男に誘拐されかけて以来。(その時、ちょうど巡回していた、お巡りさんが助けてくれた)
本気で男性を毛嫌いしている部分がある。
まず、絶対に自分の連絡先を教えないし。
友達に「私の連絡先勝手に教えないで。教えたら絶交だから」と釘を刺す。
それでも、たまに勝手にエマの連絡先を教える子がいてしまうわけだが。
そんな時は、その子とは口もきかず。
怒り狂って家の電話線をハサミで切るという狂気じみた行動をして大人を困らせた。

SNSに執着しないのも、そうだった…。

クラスの男子とは喋るけど。
一定の距離を取っている。
深くは仲良くなろうとしない。
とにかく、一定の距離しかとらない。
それがエマだ。

完全にガードがかたいエマだから。
エマに恋をした男子は、皆。ヒナのもとにくるのだ。
ヒナなら、どうにかしてくれるだろうと…。

小学生時代、さんざん味わったくせに。
それを忘れていたヒナ。
どうせ、自分はエマのおまけでしかないのだ。
世の中の男性はエマしか見ていないのだ。
自分は、エマと仲良くなるための踏み台でしかないのだ。