すでに外も暗くなり、夜ご飯も食べ終えて、私たちはまったりしていた。
「美味しかったね~」
地元の食材を使った懐石料理は、とろけるほど美味しかった。
「そうですね。お腹いっぱいです」
これ以上食べられないってくらいのボリュームで、デザートまであったのだ。
お腹いっぱいにならない方がおかしい。
そして。動けない私たちの会話は途切れて、シーンとなる。
途端に、今まで気にしないようにしていた“二人きり”というのを自覚し、私の心臓は速い鼓動を繰り返していた。
「お、お、お、お風呂行ってくる!」
無駄に意識してしまって、平常心が保てない私は逃げるようにお風呂セットと浴衣を持って、部屋を出た。
廊下を歩きながら、必死に落ち着けと自分に言い聞かせる。
このまま、夏樹くんと同じ部屋で一晩過ごすなんて、落ち着かなくて眠れないかもしれない。
頭の中でグルグルと考えているうちに、お風呂場に着いてしまった。
お風呂の内装も凝っていて、ゆっくりとくつろげる空間が広がっている。