嫌ではないと言ったら嘘になる。
付き合ってもいない異性の人と同じ部屋なんて、普通はしないだろう。
でも、これから仕事で関わることになる旅館に迷惑をかける訳にはいかない。
全ては、一部屋しか取らなかった、部長がいけないのだ。
後で文句を言おう。
「お気遣いありがとうございます。多分、予約した時のこちらのミスだと思うので、そのままで大丈夫ですよ」
「そうですか......、かしこまりました」
私が答えると、夏樹くんは小さくガッツポーズをしていた。
私なんかと同じ部屋になるのが、そんなに嬉しいのだろうか。
「こちらの桜の部屋をご利用ください」
私たちが使う部屋に案内される。
鍵を開けてもらい、中に入るとそこは桜をモチーフにした部屋だった。
今は季節ではないので、造花で作られた生け花も置いてある。
「わぁ...」
「すごいですね......」
夏樹くんと2人で、部屋の中を見渡して綺麗な部屋に見とれてしまう。



