夏樹くんがそう口に出したくなる気持ちも分かる。
綺麗にカットされて葉が揃えられた盆栽や、小さい池にはししおどしがあり、静かな庭に水の音が響いている。
そこはまさに、癒される空間だった。
玄関ホールまで続く一本道は砂利が敷き詰められていて、歩く度に2人分の砂利を踏む音が鳴る。
「いらっしゃいませ」
その音を聞いたのか、玄関ホールには1人の仲居さんがいた。
「初めまして。私、旅行代理店の柏木と申します。11時に予約していたのですが......」
私は名刺を渡して確認してもらう。
「柏木様ですね、伺っております。こちらへどうぞ」
丁寧なお出迎えで、入った雰囲気も良い。
自動扉を通ると、正面には大きな生け花が置いてあった。
夏樹くんは緊張しているのか、私の後ろを黙って着いてくる。
案内されたのは、すぐ近くの部屋だった。
応接室として使われている部屋らしい。
「直ぐに女将を呼んで参りますので、少々お待ちください」



