鼻歌を歌いながら歩いて、足取りの軽い夏樹くんの後をキャリーケースを引きながら着いていく。
最寄り駅から、20分の所にある大きい駅に行って、そこから新幹線で1時間半かかる。
道のりはまだ長い。
電車に乗るのは、ちょうど朝の通勤ラッシュの時間だ。
そして、この大荷物......、考えるだけで憂鬱になってくる。なのにーー。
「紗知先輩、今日のスーツ可愛いですね!」
夏樹くんは、呑気にそんなことを聞いてきた。
ちなみに、今日のスーツはこないだ買ったばかりの下ろしたてだ。
「あ、ありがとう。こないだ買った新しいやつなの」
「すごく似合ってます」
薄いピンクのスーツで私も気に入っていたから、そう言われると嬉しい。
そう言われたところで、駅に着いた。やっぱり、通勤通学の人達で駅のホームは溢れるほど人が居た。
これは......満員電車は避けられないな......。
夏樹くんと満員電車に乗るのは2度目。
この前は仕事帰りだったけれど......。



