年上彼氏と年下彼女



もう5時半を回っているから公園には人が居なくて、しーんとしている。
私の足音だけが響いた。


如月さんが気づいたみたいで伏せていた顔を上げた。

私は座らず、如月さんと向かい合うかたちになる。


「こんにちは、如月さん」

「…夏希ちゃん」

なるべく笑って挨拶したつもりだったけれど、たぶん引きつっている気がする。


「…隣、いいですか?」

「…ん」

紙袋を挟んで座る。

「……」


しばらく沈黙が続いた。
いたたまれなくなって俯く。

なぜだか分からないけれど、カッと目頭が熱くなって徐々に視界がぼやけてくる。




「…あのさ、」

先に口を開いたのは如月さんだった。

「この前の事だけど。…あれ、元カノなんだよね」

「…はぃ」


若干鼻声にもなって、恥ずかしくて気付かれないように鼻をすすった。
すぐ泣くめんどくさい子なんておもわれたくない。


「元カノとは、夏希ちゃんと付き合う半年前くらいに別れたんだよね。向こうの浮気で。一応話し合って円満…では無いかもしれないけど、ちゃんとした別れ方だったと思う」


顔は上げずに、静かに聞く。


「別れたんだけど、正直なところ当時まだ俺は少し未練があって。完全に諦めきれなかったんだよね。それで別れてから2ヶ月くらいは連絡とってた」


あんなに綺麗な人、忘れられない気がする。
嫌な感情が心の中に渦巻く。


「夏希ちゃんと付き合い始めた時にはもちろん吹っ切れてた。けど、最近突然連絡、というか相談がきて…」