年上彼氏と年下彼女


あれから約1週間。


あの後も何度も電話やメッセージの通知が溜まったけれど、タップする勇気がなくて無視し続けた。

3日もすれば如月さんも諦めたのか連絡が来なくなって…。



私が拒否したのにいざ連絡が来なくなるとそれだけの存在だったのかな、なんてネガティブな気持ちになった。

そんなこと思う私にも嫌になって。


たぶん無意識に如月さんのことを試してたんだと思う。





こんな自分がほんとに嫌になる。




* * *



土曜日。


外に出る気分でもなくて、1日中家に引きこもる予定だったのに…。



「おい、夏希。買い物行くぞー」

ノックもせずに、バンッと音を立てて遠慮なく入ってきたお兄ちゃん。

私は髪を軽くまとめて、上はノースリーブ、下は短パンというやる気のない格好でベッドに転がりスマホを開いては閉じてを繰り返していた。


そんな姿を見て、あからさまに顔を顰めた。


「おま、そんな格好遥人に見られていいの?」

「…しらない」


如月さんのことが出てきて、思わず変な返事をしてしまった。

また、涙が出そうで枕に顔を押し付ける。



ため息をつくお兄ちゃん。

知ってるよ。こんな私、めんどくさいって。



「ゆきが買い物したいっつーから。準備しろよ?」


えー、と抗議したものの流され、下で待ってるからと言いのこし部屋を出ていった。

しぶしぶ、ベッドから身を起こし仕度をする。




外着なんて手で数えられるほどしか持っていないから、考えずに手に取る。

紺のフレアスカートに白の袖のないブラウス。
腰をキュッと締めるタイプのスカートで合わせやすいから重宝している。


買い物…といっても、車で30分位のショッピングモールだろう。
色つきリップだけでいいやと唇に軽くつける。


肩に掛けるタイプの小さいカバンを手に取り、急いで下に向かった。




どうやら2人とももう外にいるようで低めのヒール靴を履き、駐車場向かう。


お兄ちゃんが運転席、ゆきちゃんが助手席。
私は後ろか…。

ドアを開け、後ろの席に乗り込む。



「ごめんね、いきなり買い物なんて」

「ううん、全然」


買い物なんて気が進まなかったけど、外に出れば買い物の気分になってしまって。

そういえばそろそろ洋服が欲しいなと思ってたところだし。



あれやこれやと買うものを思い出している間に車の揺れ具合が眠気を誘った。


すぐ着くけど…、でも少し眠いかも、と起こしてもらえることを願って重い瞼を落とした。