「まってね、紅茶入れるね」


ソファに座らされ、ゆきちゃんはキッチンへ。



「…お兄ちゃんは?」


「まさくんならもうそろそろ帰ってくると思うけど」



そのタイミングで玄関の鍵が開く音がした。


「ただいまー」


「おかえり」


「お、夏希…って、その目どした?」



リビングに入るや私の目を見てぎょっとするお兄ちゃん。


カバンをローテーブルに立てかけ、右隣に座った。



ゆきちゃんは3人分の紅茶をローテーブルに置き、私を挟むように左隣に。






「で、なにがあった?いまの時間だったら、遥人んとこで飯作ってる時間だよな」




事情を話そうと口を開いたけど、思い出してしまってまた涙が溢れてしまう。


「ゆっくりでいいよ」


そう微笑んで、ハンカチを渡してくれるゆきちゃん。




「…あのね、」