しばらくして両手を膝につき肩で息をしながらおそるおそる振り返る。


もしかしたら追いかけてくれるかもしれないなんて期待しながら。




でも、追いかけてくれるわけなくて。




視界が滲む。



「…いつから」



あれは浮気なんだろうか…。

綺麗な人だった。
私と違って大人でスタイルもよくて。



「…私と大違い」



ブーッ、ブーッとブレザーのポケットにあるスマホが着信を知らせている。

画面に映されているのは、『如月さん』の文字。




一瞬通話ボタンを押しそうになったけど、別れ話をされるのが嫌で拒否ボタンを押した。

ついでに電源も切る。




「…やだぁ」


落ち着いて冷静になったら、どす黒い感情が込み上げてきて道の隅でうずくまる。



ぽつりとアスファルトに染みができていく。









「…なつちゃん?」


しばらく壁を背にうずくまっていると声がかけられた。


顔をあげる。



「…ゆきちゃん」


「なつちゃん、どうしたのその目!」



幼なじみでお兄ちゃんのお嫁さんであるゆきちゃんが目を見張る。



「どーしよぉ、わたし…」



「何があったか後で聞くから、まず寒いから家帰ろ?ね?」



そう言われ、手をゆきちゃんに引っ張られながら家に帰った。