* * *



「おれ、夏希ちゃんがすっごく大切なんだよね」

如月さんの家にお邪魔させてもらって、ソファでゆっくりしてた頃。

唐突にそんなことを言われたものだから、思わずきょとんとした後顔が赤くなってしまって。


「…顔、真っ赤」

「…う、」

そんな私をみてくる如月さん。
恥ずかしくなって視線を外す。


「だからね。せめて高校卒業するまでは手は出さないって決めてたんだけど。あと、まさからも釘さされてるし」

その言葉に顔を上げる。
そんなこと思ってたなんて。
でも。

「…キスぐらいはして欲しいです」

そうお願いすると「意外と小悪魔入ってるね」と茶化して言われた。


「でもおれ、キスしちゃうと止まんなくなるからなぁ。特に夏希ちゃんはね」

「は…」

爆弾…それも結構大きめのが落とされた気がする。
さっきより顔が熱い。



如月さんはにやーと口角を上げる。
Sっ気、入ってますよね…?


「夏希ちゃん自覚ないと思うけど、元カノより全然可愛いから」

「…いや、そんなことは」


「あるから」


そう言って如月さんは私の頬に手を伸ばす。
骨ばってて、指が長くて男の人の手だなぁなんて思った。

少し冷たいのが心地よくて目を閉じる。


可愛いなんてそんなことはないと思うけど、嬉しいのは事実。自然と笑顔になる。



「…さそってるようにしか見えないけど?」