最初で最後の愛の話

「結婚しよう、僕が大学を卒業したら」

愛を抱きしめながら僕は言った。愛は驚き、「えっ……」と呟いている。僕は愛を抱きしめたまま続けた。

「僕は、君以外の人と結婚なんて考えられない。一緒にいられる時間が少なくてもいい。愛の残りの時間を、隣で一緒に過ごしたいんだ。……僕と、結婚してください」

ずっと言おうと思っていた。愛と永遠を誓いたい。愛といられる時間を今よりも大切にしたいから……。

「ダメだよ。私と一緒にいたら、ミコトくんが不幸になっちゃう」

愛は泣き出しそうな声で言う。僕は抱きしめる力を強めた。

「不幸かどうかは僕が決めることだよ。僕は、愛を愛しているから結婚したいんだ」

僕の胸に温かいものが流れる。愛が僕の胸で泣いているんだとすぐにわかった。その涙でさえ、愛しい。

「私、ミコトくんよりずっと早くおばあちゃんになっちゃうんだよ?」

「知ってるよ」

「シワだらけになって、醜くなっちゃうんだよ?」

「愛はどんな姿でも綺麗だよ」

「ミコトくんを置いて行っちゃうんだよ?」