翌日
私は目を覚まし,荷物をまとめる
もう此処から去るのだと思うと寂しくなった
昨日,散々自分より幼い子供に泣かれて困った
私はそれでも嬉しいもので
私を想ってくれる人が居る
それだけで幸せだった
「湊ちゃん~!」
「ー?」
ぎゅーと抱き締められる
(この匂いは…)
ー玲華さん?
私のノートを見せる前に目が合った
(玲華さんだ!)
「正解よ!さぁ行きましょう!」
にこりと微笑みつつ私の荷物を持つ
私は慌てて返してもらおうとするが
「良いの良いの!」
と返してくれない
(申し訳ない…)
「申し訳ないって思っているの?」
心を読まれて肩が揺れる
「湊ちゃんは私の娘よ?そんなこと思わなくて良いの!」
申し訳ないけど嬉しかった
私は頷き微笑む
玲華さんは赤くなり笑った
「笑顔,可愛いわね」

(ー!?)
顔に熱が集まる
私は玲華さんからそっぽを向く
玲華さんはクスクスと笑い私の手を男性特有の大きな手が握る
「甘えなさい?」
(ー…)
私はペンを走らせた
そして
ー…はい
と答えた
ギュッと握り返すと玲華さんはニコニコとしている
私はそんな玲華さんを見て嬉しくなったのは心の中だけにした
車に乗り皆に手を振る
「淋しい?」
私は玲華さんの言葉に対して首を振る
ー家族が居るので淋しくは無いです
「そう…ありがとう」
私はキョトンとしつつ頷いた

玲華

最初は不安だった
こんなに失声症の子は辛いのかとネットで調べたとき思った
ストレス性から何まであり,あの子は元からだった
背中の入れ墨を見たらどう思うかと
極道の若頭と知ったらどうしようって
けど
湊ちゃんは言った
ー綺麗ですね
ーそれが何ですか?貴方は怖くない
私はそんな言葉を言われた事は無かった
嬉しくて湊ちゃんについ言ってみる
「娘になってくれないかしら?」

湊ちゃんは不安そうに目を伏せて
ー私で良いのですか?
そう言った
きっと湊ちゃんは不安で苦しい
だからこそ
私は思うの
「貴方だから良いのよ,湊ちゃん」

私は湊ちゃんの両手を優しく包む
子供の様にそれらしく涙を流す湊ちゃん
私はそっと湊ちゃんを抱き締めた
暫くして湊ちゃんは落ち着く
翌日
私が迎えに行くと荷物をまとめている湊ちゃん
ウズウズして我慢出来ずに抱き着くと湊ちゃんはキョトンとしている
「正解よ!さぁ行きましょう!」
私が軽々と湊ちゃんの荷物を片手で持つ
湊ちゃんは私が持つと言うが
「良いの良いの!」
と返さないわよ!
申し訳ない,そう思っているそうだから私が言うとびっくりしていた
「湊ちゃんは私の娘よ?そんな事思わなくて良いの!」
すると
湊ちゃんが笑った
とても綺麗に微笑んでいる
私はびっくりしつつも
「笑顔,可愛いわね」
とからかった
「甘えなさい?」
湊ちゃんの手を握りそう言うと
ー…はい
と答えてくれた上
ギュッと握り返してくれる
私はとても幸せよ
湊ちゃん!