「嫌。
籍は入れられなかったが…………
不倫じゃない。
俺は、圭哉が生まれて1年して………別居したんだ。
離婚を希望したが、納得してもらえず家を出た。
別居が数年経つと、離婚が成立すると聞いたから。
家は裕福だから、働く必要もなくて。
ホテルや旅館を、転々として過ごした。
そんな時出逢ったのが、彰人の母親………瞳だった。
彼女はとても純粋で、働き者で………可愛い人。
俺は直ぐに恋におち、猛アタックしたんだ。
初めは身分違いだと言って、受け入れてくれなかったが……。
根負けして、つきあいをオッケーしてくれたんだ。
それからは毎日幸せで、ずっと一緒にいたいと思うようになった。
別居中であること、離婚するつもりだと話し
直ぐに家に連絡して別れると伝えたんだ。
けど、俺は甘かった。
話しを聞いて、女がいるとピンときた嫁は
瞳の事を調べて『子供二人の父親を取り上げるのか!』と罵った。
瞳は…………何も言わず身を引いたんだ。
幾ら探しても見つからず
送金を止められた俺は、仕方なく家に帰った。
その後も探し続け
やっと見つけた時は…………瞳は亡くなっていた。
哀しみから受け入れられないのに…………
子供までいたと聞き、後悔ばかりしていた。
施設に迎えに行って、瞳の分まで可愛がるつもりだったが
彰人が手にしていた瞳のお骨を見たら
やはり現実を受け止める事が出来ず…………邪険にしていた。
コイツは俺の知らない3年を、瞳と過ごしたんだと思うと
息子なのに嫉妬さえ覚えたんだ。
彰人にしてみたら、堪らないよなぁ。
母親が亡くなり
哀しみの中迎えに来てくれた父親にすがりたいはずが
嫉妬され、邪険にされるんだから。」

衝撃な内容だった。

親父がここまで、お袋を愛していたとは…………。

しかし、それなら今までの行動も理解出来る。

親父も俺と同じくらい………俺以上に

お袋の死を悲しんでいたんだ。