ホットケーキは………

食べたかったっていうより、母親と作るのが嬉しかったんだろうな。

口にした今よりも

さっき、車の中で思い出した方が懐かしかった。

「……………ご馳走さま。
ケーキも食べたし、そろそろ今日の意味を教えてもらえないか?」

俺にとって、親父は恐い。

3歳の時、無理矢理施設から出されてあの家に連れていかれたことが

昨日のことのように、思い出せる。

ホントは……………こんな言い方をするのも勇気がいる。

けど、やっぱり逃げるわけにいかないし

親父の存在が気になって楽しむことも出来ない。

だったら聞かないとな。

それにたぶん、親父も居心地悪いだろう。

なのに来たのは不思議だけど。

それならズバッと聞いて、早くお開きにしたい。

「親父がこの場にいること………おかしいだろう?」

俺の言葉に、返すように口を開く兄貴。

「彰人、今日親父がここに来たのは………」

「彰人…………すまない。」

兄貴の言葉に被せて、親父が土下座した。

……………………………………………………えっ?