俺の言葉に、ポロポロ涙を溢す寧々は。

「彰人君のせいだからねっ!
責任とって、おんぶしてよ。」と泣き笑いしている。

あぁ。

あの日、水族館に来て

寧々の恋の相手になって良かった。

そのお陰で………

こんな良い彼女を、捕まえられたんだからな。

寧々じゃないけど………

ここはホントに、想い出の場所だ。

「彰人君。
今度、お母さんに逢わせてもらえる?
『お母さんの分まで、彰人君を大切にします。』って伝えたら
お母さんも安心してもらえると思うんだ。
ねっ!」

お袋の墓。

おばさんに遠慮して…………

あの日納骨してから、一度も行ってない。

…………………行っても良いのか??

………………………………。

行ってみるか。

お袋、びっくりするだろうなぁ。

可愛いかった3歳の彰人君が

20歳も年下の彼女を連れて逢いにくるんだもんな。

怒られないか?

口角の上がる俺を見て

「だったら、約束ねっ!
ねぇ~
せっかくのデートだから、そろそろ行こう。
時間がもったいないよ。」

さっきまで濡れていた瞳は

今はもうキラキラと輝いている。

「恐いって泣いても、おんぶはしないからな。
手は…………握っててやるよ。」