寧々が、兄貴達や洋介に感じる遠慮は………。

実は、俺も兄貴に感じていることだから。

自分の家族と呼べる人間は…………

つい先日まで、死んだお袋と兄貴だけだと思っていた。

その兄貴に、咲というパートナーが出来………子供が出来たことで。

兄貴のホントの家族は、あっちだから遠慮しないといけない。

もう、兄貴に頼ることはできないと思っていた。

現に、兄貴の結婚を境に…………プリンを食べてない。

プリンは……………

俺と兄貴を繋ぐアイテムだから。

寧々も

おばさんや洋介、兄貴達の愛情を

自分のものだと思わないようにしてるんだろう。

それぞれの家庭のものだと。

おばさんは母親だが、洋介の子供のおばあちゃんで………。

自分と孫、どちらがって…………天秤にかけて遠慮してるんだと思う。

誰も、そんな線引きをしてない。

変わらない愛情をくれてるんだけど………。

自分の心で………線を引いてしまってるんだよなぁ~

俺には、死んだお袋という

俺だけを愛してくれた人の記憶があるから…………まだいいが。

寧々は、唯一無二の愛情を与えてくれるはずの母親に

捨てられてしまった分…………キツイだろう。