「だって、初めての水族館は
想像してたものと、全然違って…………。
真っ暗だし、見たこともない大きな魚はいるしで…………。
エイなんて、怪獣に見えたんだもん。
ホントに怖くて。
でも、チビなりに………
みんなが自分の為に連れて来てくれたことは、解ってて。
『帰りたい』なんて言っちゃいけないから…………
ホントに困ってたの。
そうしたら!!
彰人君が、スッと寧々の前に膝をついて
『寧々、来い。』って、おぶる体勢をしてくれて。
『王子さまみたい!!』って思ったの。
あれが恋の始まりだよ。」

まさか、こんなところで………

昔ばなしのはずが、恋の始まりについて聞くことになろうとは…………。

「だから、今日は無理を言って連れて来てもらったの。
あの日私は…………。
永遠の家族と大切な恋を手に入れたから。
魚は、ホントに怖かったけど………。
パパ達が、自分の為にビデオやカメラで撮ったり。
泣くのを心配してくれたことは、それまでの人生にはないことで………。
大切にしてもらってるって…………
子供なりに解ったもん。
いつか行きたいなぁ~って思ってたんだぁ。
ホントは、あの時のみんなで来ても良かったんだけど。
パパ達に話すと、大袈裟に喜ぶから恥ずかしいんだ。
それに、今は私だけじゃなくて。
みんな大切な娘や息子がいるから………
ちょっと控えなくちゃね!」

寧々の言いたいことは、理解できた。

俺が感じてることと同じだから。