「別に、怒ってないよ。
俺としたら、寧々と一緒に過ごせてラッキーだしな。
ただ、結婚までは………
男のプライドとして、親元に置いておきたかったけどな。
あのメンバーじゃあ、俺のちっぽけなプライドなんて
通用しないから…………。」

苦笑いを浮かべると。

「ホントはね。
マンション…………そのままあるの。
だから、どうしても嫌だったら帰っても良いからね。」

やっぱりそうか。

たぶん、そうじゃないのかと思ってたんだ。

「アホ。
大切な彼女がここで一人になるのに、帰る訳ないだろう。
それより。
俺よりも、寧々の方が痛々しいんだから。
俺になんでもさせろよ。」

頭を撫でると、嬉しそうに抱きついて

「彰人君、ありがとう!」と笑顔を見せる。

この笑顔があれば…………

俺はどんな事も、頑張れそうだ。

「だったら、あのとき家の中で待ってたら寒くなかったのに。」

俺のマンションを飛び出して、この家の玄関に

ポツンと体操座りしていた姿を思い出す。

「だって………
ここが建て替えて、住めるようになってたなんて。
彰人君が入院するまで知らなかったんだもん。
それに、中にいたら見つけてもらえなかったでしょう?」

やっぱり俺が迎えに来る前提での家出かぁ。