「あ~きと君!おめでとう。」

「彰人、覚悟しろよ。」

「これで彰人は、私の息子ね!
ママって呼んで頂戴。」

俺の退院の日。

待ち構えていたかのように、いつものメンバーが押し寄せて来た。

……………というのも。

入院中は、寧々がしっかりガードしていてくれたから。

「ごめんね、彰人君。
さすがに退院は、荷物もあるし。
アルコール注意の為に、身元がしっかりしてる人に
連絡しないといけなかったの。
一応、一番安心な洋兄に連絡したんだよ。
けど……
私が朝からウキウキしてたから、お母さんにばれたみたいで……。
洋兄も、仕事上パパと大パパに筒抜けらしくて…………。」

心から申し訳なさそうな寧々に。

「嫌、寧々は今までよく守ってくれたよ。
アイツらを、1週間も足止めしてくれたんだからな。
まぁ、今日1日くらいは我慢するよ。」

俺の言葉に、益々申し訳なさそうな表情の寧々。

………………………??

「あのね。
………………実は………………」

何か言いかけた寧々の口を、片手で遮った長男の貴文。

大手会社の会長。

一見、穏やかな人懐っこい顔を見せるが………。

腹の中は、真っ黒で。

兄弟と言えど、決して足元を掬われてはならない人物だ。

そんな長男の、唯一の弱点が寧々。

性格と頭の良さが一番似ていると、本人だけが思っている。

故に、寧々は目の中に入れても痛くない程可愛いらしい。

自分の後継者は、俺や圭兄じゃなく寧々だと言ってる程だ。

だから、誰より俺達の結婚を楽しみにしている。

身内になれば、より一緒にいられるし

後継ぎとして育てやすいと。

ただし、手を出すことは反対している。

もちろん、既成事実をつくってしっかりものにしろ。

と口では言ってるが………。

その反面、未成年に手を出すと捕まるぞ!とも脅してくる。

ホント、達が悪い。