「寧々はその時、どう思って答えたんだ?」

俺の質問に笑いながら

「尋問する刑事さんみたい。」と答え。

思い出したのか、急に淋しそうな顔をして。

「そりゃあ、面白くなかったよ………。
本音を言えば堂々と『私の彼氏です!』って言いたいもん。
でもね。
今だけじゃなくて、ずっと一緒だって言ってくれたから………いいの。
いつかお嫁さんになったら、いっぱい自慢しちゃうもん!」

なんとも可愛い答えだ………。

丁度その時

トントンとドアをノックされ。

ガラスに看護師さんの姿が写った。

「寧々。」

寧々を呼んで、顔を上げさせ

「どうぞ。」と入室を許可した。

そうして………………

チュッ。

上を向いた寧々の口にキスをする。

「「きゃっ!」」

驚いた声は、俺の顔の側と

ドア付近から。

「あぁ、すみません。」

呆然とする寧々を、ベットに引っ張りあげ

「コイツが姪って言ったみたいだけど………
彼女で、婚約者なんで。
照れ屋で………まぁ、そこも可愛いんですけどね。
なので、ちょくちょく来ると思います。」

俺の説明に、少し年配の看護師は

「了解しました。
後輩達には、私の方から説明しておきます。
なので、もうこの様な説明は控えて下さいね。
あまり風紀が乱れるようなら
私が指導しないといけなくなりますので。
続きは、退院されてからでお願いします。」

物分かりの良い女性らしく

俺の言いたいことを瞬時に理解した上で

敢えて忠告もしてきた。

「了解しました。
………らしいから、寧々続きは帰ってからね。」

まだ放心中の寧々は、大して理解しないまま頷いていた。