コンコン。

「どうぞ。」

決して機嫌が良いとは言えない声が、ドアの向こうから返ってきた。

……………マッズイなぁ。

「ご愁傷さま。
まっ、頑張れよ!」

ポンと肩を叩くと

薄情にも、帰って行った。

…………………つき合えよぅ~





ドアを開け入室すると

ソファーに座って、待ち構えていた。

向かいを促されて腰を下ろすと。

「寧々の事だけど。」と早速話し始めた。

余裕のない兄貴は…………初めてだ。

寧々の事でもあり、真剣な顔で聞くと

「進路を変更したのは、どうしてだ??」と…………。

進路の変更??

「はぁ??
変更…………ですか???」

正直、初耳だった。

「それで………………どんな風に??」

俺の返事に、兄貴も戸惑う。

「彰人も聞いてない?
俺は…………
彰人が、卒業して直ぐ結婚する為に変更させたのかと………。」

結婚?

囲う事を躊躇ってるのに??

ナイナイナイ!

「その情報は、何処から?
ガセじゃないんですか?」

寧々は、小さい時から兄貴に

『この会社を継いで欲しい』と言われて育った。

幼い頃は、俺達も冗談だと耳を貸さなかったが。

進路を決める高校2年の時

それを視野にいれて、経済学を学ぶ大学に進路を決めた。

それからは塾に通い、受験勉強を真面目にやっていた。

それなのに、俺にも相談無しでか?

何の為に??

そもそもホントに?