「………やっとだな。」

ポンと俺の肩を叩いて話しかける春人。

「あぁ。
サンキュウな。
後藤君もありがとう。
桜じゃないけど………
俺も二人の後押しがなかったら、今の幸せはなかったよ。」

「いえいえ。
亨さんの頑張りですよ。
俺には出来ないですもん。
あんなに長い時間、遠くで見守るなんて。」

後藤君の言葉に、からかう春人が

「そりゃ、そうだよなぁ。
だって、初めて出会った日に『付き合って下さい』って言ったんだから。」

そうだった。

後藤君は、玲奈ちゃんに6人で行ったデートで告白して

『お友達だったら。』って言われたんだよなぁ。

「俺からしたら、後藤君の方がスゴいよ。
会ったその日に告白なんて。
おまけに駆け落ちまでして………。
後藤君の押しを見てたから………
玲奈ちゃんは俺がだらしなく見えるんだろうなぁ。」

苦笑いする俺に

「それだったら、春人先生が一番スゴいのかも。
俺の強引さも、亨さんの気の長さも…………両方だから。」

確かにそうだな。

あんなに飄々として、怖いもの知らずなのに。

見守る時にはしっかり待って

夏苗ちゃんが納得するまで幼稚園の先生をさせるのに。

高校を卒業して離れた時は………

校医をアッサリ辞めて、追っかけて行ったんだからなぁ。

第一、初めて出会った時は………

夏苗ちゃんはまだ小学生。

おまけに

隣のお兄ちゃん…………『誠ちゃん』に片思いしていたんだから。