「今日は少し位なら、遅くなっても大丈夫だよな?」

次のデートで決めようと思っていたけれど………

あれから二人の予定が合わず

結局、桜はお料理教室に通っていた。

約束から1ヶ月が過ぎた昨日。

夜の電話で「明日は、お父さん達パーティーに出席するから……
いつもより、ゆっくりデート出来そうです。」と伝えられ

慌ててお父さんに連絡を入れて、デートの延長を申し出た。

9時に送り届ける旨を伝えると

俺のプロポーズの計画を察してもらえたのか。

快くオッケーした後

『明後日は自宅に居るから、遊びに来なさい。』と言われてしまった。

明日のプロポーズを成功させて…………

明後日には『お嬢さんを僕に下さい』と頭を下げることになりそうだ。

明日のプロポーズの成功に、プレッシャーはかかるものの。

ご両親公認というのは、少し安心する。





そうして迎えた当日。

家まで車で迎えに行くと、両手をモジモジと擦り合わせていた。

「おはよう。
今日は少し位ならゆっくりデート出来るんだよな?
だったら家で、この間言ってた料理教室を開こうか?
これからスーパーに寄って、材料を買いに行こう。」

「あの………。
あれからずっと習ってたんだけど……………。
ごめんなさい!
まだ………お味噌汁どころか…………
きゅうりのスライスすら、合格出来てないんです………。」と………。

指を見れば、絆創膏がいっぱい。

桜なりに頑張ったことが伺える。

「ありがとう。
いっぱい練習してくれたんだな。
だったら今日は、二人で味噌汁を作ろう。
桜は出来ることをしてくれたら十分だから。
お料理教室なんて、堅苦しく考えず。
二人で食べたいものを一緒に作るって思って!」