プーッ!

「桜、危ない!!
こっち。」

クラクションの音にビクつきながら俺の車を探す。

お嬢様の桜は、仕事を始めてから

初めて自分の足で歩いて行動をとるようになった。

出版社に勤めると、どうしても相手方に向かうことが多いから

俺も敢えて公共の乗り物を利用させて、待ち合わせるようにしている。

そのため、さっきのように危険なめにも合う。

子供でも分かりそうな交通ルールなのに………。

交差点で『矢印が出てたらまだ渡れない』というのが理解できてないんだ。

あれで、本気で免許を取ろうと考えていたというのが

納得出来ない。

お年寄りの運転よりも危険なのに…………。

「ほらっ、乗って。」

ようやく近づいてきた桜を、助手席に座らせて

先ずはお説教から始まる。

「何度も言うけど。
先ずは、信号機をよく見ること!
それでも自信がなかったら、周りの人の行動を見て
みんなが渡っていたら、渡りなさい。
桜が事故るのも怖いけど。
運転手さんにも、迷惑がかかるんだからね!
とにかく、気をつけること!!」

毎回同じ説教をくらって、シュンと落ち込むところからデートが始まる。

やっぱりまだ無理なのかなぁ。

デートの度に、俺が迎えに行った方が良いのかと

真剣に悩んでしまう。

仕事の時は…………………。

ここまで考えて

過保護にしてばかりだと、先がない事を思い出す。