桜の咲く頃……… 君を想う

「…………………………あの。
先生のお写真を…………1枚も撮ってない訳ではないんです………。
………………って言っても……………1枚ですけど。」

そこに写っていたのは

みんなで写った写真だった。

仲の良い数人が、寄り添っている。

そう言えば春人を中心に、みんなで顔を寄せて撮って貰ったよなぁ。

撮って貰ったから、1枚あるのは…………頷ける。

俺が『おやっ!』と思い………口許が緩んだのは……………。

…………………………春人が中心の結婚式の写真で。

俺が中心で、春人が半分切れてたからだ。

「………………これは?」

もう1枚の写真。

それは……………懐かしい物だった。

そこに写っていたのは…………

観覧車の中で微笑む………俺。

まだ彼女が、高校生だった頃に一緒に行った遊園地でのものだ。

二人で過ごした、ホンの少しのデート。

ラストに乗った観覧車で

『俺も撮って』と言って、向けた笑顔だった。

あの後夏苗ちゃん達がバタバタして

写真があった事すら忘れていた。

………………それがどうして財布に?

少しの期待を胸に、『どうして?』と目で聞いてみる。