ようやく彼女の斜め前の席が空いたので

さりげなくキープした。

今日は、髪をアップにしているから

普段のあどけない姿と違い、長い首がセクシーに見えドキッとした。

思うことは同じで…………。

昔一緒につるんで遊んでいた一人の…………大林冬馬に

「そっちの子、亨の教え子なんだって?
可愛いのに、ちょっと色っぽくて…………
俺のどストライクなんだよね!
紹介してくれない?」と聞かた。

そっちの子って……………。

どう考えても、木下さんのことだよなぁ。

「アホ。
彼女は、生粋のお嬢様だ。
婚約者だっている。」

牽制するが、気にすることなく彼女に話しかけてる。

おいおい!

隣の彼女を見ると、大して聞いてないようでポワンと上の空。

彼女らしいと言えば彼女らしいけど………

ちょっと危ないよなぁ。

冬馬がアルコールを勧めて、我にかえったのか

「あっ!…………すみません。
私………飲めないので………。」と涙目で断っている。

アイツ…………。

「おい、冬馬…………。
木下さんが、困ってるだろう。」

俺の注意にも「木下さんっていうんだぁ!下の名前は?」と………。

イラッとしていたら

俺の肩をポンッと叩いて目配せをし。

「ハイハイ、冬馬君こっちに来ようねぇ~
俺の奥さん紹介するよ。
奥さんもこの子と同級生だから、若いお友達がいっぱいだよ。」と言って

冬馬を連れて立ち去った。