カラン。

昼間は喫茶店。

夜になるとBARになる、駅前の商店街から一本入ったお店。

春人お気に入りのマスターのいる、この店は

俺と春人の憩いの場だ。

カウンターに進むと

先に頼んでチビチビやっている春人がいた。

「すまん。
今日に限って、仕事が長引いた。」

ちょくちょく遅れる俺の言い訳を

「教頭の長い小言のせいだろう。
いい加減、みんながウンザリしてるって気づけば良いのにな!」と

同じ職場だっただけに

訳知り顔で、受け流してくれる。

同じ物を注文して待っていたら。

スゥーッと、封書が俺の前に滑ってきた。

中身を確認するまでもなく、分かってしまう金の寿。

「とうとうかぁ!
おめでとう。」

親友の結婚に、嬉しくなる。

長い…………ホントに長い付き合いの二人。

一度は別れも経験してるだけに、感慨深い。

「長かったなぁ……………。」

しみじみ言う俺に向かって。

「その長い時間。
お前はずっと、片思いだからな。
ホント、呆れるよ…………。」

確かになぁ。