「久しぶり!」
相変わらず眩しい笑顔を向けてくる。
「久しぶり…、どうしたの?」
「どうしたもこうしたも、お前がいたから声掛けたんだ!それより、お前は変わってねぇな笑」
「なによ、たった8ヶ月しか経ってないんだよ?
変わるわけないじゃん」
でも、優生は小学生のときより大人になってる。
眩しい笑顔は変わってないけど。
「8ヶ月って結構長いぞ?」
「そお?うちにはあっという間だったけど。」
「冷たいなぁ笑俺はずっと会いたかったぜ?」
「えっ?」
何を言い出すのかと思ったら、ずいぶん口が上手くなったこと。
「奈緒は?会いたかった?」
そう言って、顔を近づけて来る。
少しはかっこよくなった気もするけど。
「近いよ優生。別にどっちでも良かった」
「なんだよどっちでも良かったって笑答えになってねぇし笑」


「奈緒!」
「おまたせ…って誰?」
「詩織!遅かったね。」
「うん、トイレ混んでた笑」
「で、この人誰?」
「うちの小学校のときの友達。」
「こんにちは!」
優生は、人懐っこそうな笑顔で挨拶をした。
詩織とうちは中学校で出会った。
だから優生のことを知らないのも当然だ。
「こいつ、雨野優生。バカだけど良い奴だよ笑」
「なんだよバカって!あっ、よろしく!」
「うちは、神崎詩織。奈緒の友達だよ。よろしくね。」
2人は挨拶を交わした。まるで大人みたいにしっかりしてる。


「優生!行くぞー!」
遠くから、知らない男子が声をかけてきた。
優生の友達だろう。
「今行くー!」
「ごめん。もう行かないと…」
「そうだっ、奈緒、メールしよう!」
優生が自分のスマホを取り出して言った。
「あー、うん。別にいいよ」
私もスマホを取り出して交換する。
「はい、登録完了!」
優生から渡された自分のスマホには「雨野優生」
と表示されていた。
「じゃあな!」
「あっ、うん。じゃあね」
私たちに手を振ると、そのまま走って行ってしまった。


「うちらもそろそろ帰ろうか?」
「そうだね、そろそろ6時だし」
もともと、家が遠い私たちは学校の登下校も一緒にはしていなかった。
「バイバイ、また月曜日」
「うん、じゃあね」
そう言って、自転車で走り出した詩織の背中を見送って、私も自分の家へ帰った。