ねぇ、お母さん。
私………アルバイトをしてるの。
それに好きな人ができたの。
他にもいっぱい………話したいな。

「聖奈………ごめんね、お母さん………あなたのこと苦しめて、ばかりでっ………!」

私はお母さんと一緒に笑いあっている夢を見ていた。
とても幸せだった。
まるで………〝あの頃〟に戻ったみたい。
お母さんが笑って、隣にはお父さんがいて。
そしてその真ん中には私がいて。

『聖奈!』

大好きな私の笑顔で笑っていた。


「お母さ………」

私はゆっくりと目を開けた。
そこにはお母さんはいなかった。
その代わりに私の机には手紙があった。
字を見たからにはお母さんの字だった。

《聖奈。ゆっくりとお話、しようね。仕事に行ってくる》

そう書かれていた。
私はお母さんのことが好き。
すごく………。
だから嬉しかったんだ。
お母さんが………私に手紙を書いてくれたことが。

「………行かなきゃ」

飯島君のところに。
彼はまだ目を覚まさない。
昨日起こったことはまだちょっと理解できない。
突然のことだった。
だから混乱して、私はただ彼の名前を呼んでいただけだった。
そして泣いていた。