それだったら今まで通りがいい。
そうすれば知らなくていいことを知らずにすむんだから。
私は考えることをやめた。
そして放課後になった。


「体育祭実行委員になりました、指原聖奈です。よろしくお願いいたします」

今は自己紹介の時間。
初めてのメンバーだから簡単に自己紹介をするんだ。
私は終わって席につく。
まわりはざわついた。

「指原さん、体育祭実行委員だったんだ………。一緒になれてラッキー!」

「聖奈ちゃんがいるなんて頼もしい!!」

そういう声がちらほらと聞こえた。
けど私は気にしない。
隣の私と同じクラスの男の子が自己紹介していた。
私は聞く気に慣れなかったため、下を向いてカメラをいじっていた。

「………」

すると隣から視線を感じて顔を上げて見てみると………。

「きゃっ!?」

同じクラスの男の子が私のことをジーっと見ていた。
私はびっくりして声をあげてしまった。
恥ずかしい………。

「………なん、ですか?」

私は恐る恐る聞いた。
名前………なんだっけ?
同じクラスメイトなのに覚えていない。
私ってすごいひどい人だな。
と改めて思った。

「俺の自己紹介聞いてた?」

「え………?」

自己紹介………?
そんなの聞くわけないでしょ。