──ガンガン!ドカン!


目の前にあるあらゆる物がお父さんによって次々と投げ飛ばされ、壊れていく…


傍にはお母さんが居て、ボコボコと暴力を振るわれている


『 この野郎!お前のせいだ!何でいつも俺の邪魔をする?』


『お願い…やめて! 』


『うるせぇ!俺に逆らうな!お前らが不自由なく生活出来てんのは誰のおかげだと思ってんだ!』

そう言ってまたお母さんを殴りつける

(やめて……お母さんを傷つけないで!)

そう思うのに声が出ない
私は結局いつも見ているだけ
何も出来ない…何も……





「…うぅ…グス…はぁはぁ…」


「ふわり!ふわり!!大丈夫か?!俺がついてるから。深呼吸して!」

この声…お、兄ちゃん…?
──パチリ
徐々にはっきりする視界
そうか、夢だったんだ…。
良かった……。
あの日から私はこんな夢ばかり見ている。
あの悪夢を──


「ふわり、おいで」


直ぐにその胸に飛び込む。
すると私を抱きしめてなだめてくれるお兄ちゃん。

安心する…心地いい。

優しいなぁ…。お兄ちゃんはいつも悪夢にうなされている私をなだめてくれる


「お、兄ちゃん…グズッ…あ、りがと。も…大丈夫。」


「そうか。良かった!また何かあったら言えよ!俺がいつでもすぐに飛んでくから!」


「ふふ。ありがとう」


そう言って微笑むと何故か顔を赤くするお兄ちゃん


??


「お、おう!ご飯、出来てるからさ!食べようぜ!」



そう言ってそそくさと私の部屋を去る



熱でもあるのかな?いや、でも元気そうだったし…気のせいか!