「隼人……藍……」

警視庁のデスクで、大輔はお昼ご飯を食べながらスマホで撮った家族の写真を見返していた。その顔が緩んでいることに、部下たちはすっかり慣れている。

大輔は切れ者刑事として有名で、数々の事件を解決に導いてきた。しっかりしていていつも無愛想ーーーというイメージを持たれがちだったが、藍と結婚し隼人が生まれてからは顔は緩んでいることが多い。

「如月さ〜ん。息子さんの写真ですか〜?」

部下である原光矢(はらこうや)刑事が訊ねる。大輔は顔を上げ、「ああ、可愛いだろ?」と写真を見せる。そこには、藍のお手伝いをする隼人が写っていた。

「いや〜、如月さんがそこまで親バカだったとは思いませんでしたよ」

「可愛いんだ。しょうがないだろ」

「奥さんも美人ですし、いいなぁ〜。俺もそんな人と出会いたい……」

「本当に藍も隼人も可愛いんだぞ」

原刑事が大輔のノロケ話を聞いていると、警視庁内に放送が響いた。