事件が解決してから数週間後、藍と如月刑事は日本から遠く離れたスウェーデンを訪れていた。かなり遅めの新婚旅行だ。隼人とカカオは藍の両親に預かってもらっている。

「いや、もう新婚旅行ではないな……。隼人もいるし」

隣で大輔が呟く。藍はクスクス笑った。

スウェーデンは、解剖率が八十九パーセントととても高い。監察医の数もとても多く、藍は日本もこんな風になってほしいと願う。

観光地をいくつか回り、大輔と藍はカフェでお茶を楽しむ。北欧と言うだけあり気温が日本よりもずっと寒い。

「大輔」

コーヒーを飲み、藍は大輔を見つめた。大輔の頰が赤く染まる。

「私、これからも色んな人の声に耳を傾けるわ。亡くなった人の声も、もちろん生きている人の声も……。大輔の声も、隼人の声にも耳を傾けるわ」

藍がそう言うと、大輔は藍の手をそっと握る。そして、言った。

「俺も、これからも多くの人を守る。藍も隼人も守り抜く。何があっても必ず……」