次の日、藍は大河とともに有働海彦が亡くなっていた廃墟を訪れていた。大輔と原刑事もいる。

「ここで海彦さんは亡くなっていました」

原刑事の説明に、藍と大河は目を見開く。目の前にあるのは廃墟とは思えないような綺麗な見た目の洋館だった。まるで、ヨーロッパの貴族が持っている別荘のような見た目をしている。

「すごく綺麗ですね。廃墟とは思えません」

大河が驚くと、大輔が言った。

「この廃墟は、××会社が所有していたんだ。海彦さんが勤めていた会社だな。おまけに海彦さんがこの廃墟の管理を任されていて、定期的に掃除していたらしい」

「そうなの?海彦さんが……」

藍は驚きながらも中に入る。豪華で立派な調度品はなかったが、テレビで目にするような荒れ放題ではなかった。むしろ、とても綺麗だ。管理する者がいなくなり、少し埃が積もっている程度である。

「ここ、家具とか置いたらいい別荘になりますよね〜」

原刑事がそう言い、「真面目にやれ」と大輔におでこを指ではたかれていた。