死者の幸福〜最期のメッセージ〜

周と呼ばれた男の子はペコリと藍たちに頭を下げた。その目は、悲しみに満ちている。それでも感情を堪えているのだと藍にはわかった。

「主人は、ある日突然いなくなりました。ずっと探していたんです。……主人は、主人はなぜ亡くなったのですか!?それを知りたいんです!!」

そう言いながら、有働真由美は泣き出す。大河がティッシュを渡し、英二が慌ててお茶を三人分用意した。

「……すみません……」

有働真由美は何度もそう言い、泣き続ける。息子二人も堪えていた感情が限界に達したのか、泣き始めた。

「泣いていいんです」

藍は優しく微笑み、三人に言った。

「大切な人が亡くなったと知れば、誰だって悲しみます。その悲しみや涙は、それだけその人を想っていた証です。泣いてください」

藍の頭にあるのは、青磁のことだ。大切に想っていた人は、突然行方不明になり殺されていることがわかった。その時、藍もただ悲しくて泣くしかなかった。三人の気持ちは、痛いほどわかる。