「あ!神代さん久しぶり!親戚の方大丈夫だった…?」
週末、金曜日の朝一で圭人が神代さんに駆け寄る
「親戚……あ、あぁ!大丈夫です!お騒がせしました」
この前俺が使った嘘。圭人の考えを読み取って合わせてくれた
…神代さんが人を読める人で良かったよ。
「神代さんって、なんで皆んなに敬語なの?」
「…なんか、年上の人ばっかりの所で生活して来たんで、
敬語に慣れちゃったんですよね〜…笑」
確かに、彼女の周りには年上しかいない。現に俺も、このクラス全員そうだ
「そうなんだね…、じゃあさ!俺にタメ口にしてよ!ね?」
「た、タメ口…ですか?」
「おーい圭人、神代さん困らせんなって笑」
多分、この教室の中の誰よりも一緒に居るであろう俺に対しても敬語何だから
タメ口は…
「分かった!できる限り…」
「本当…?!やったぁぁ!」
…は。良いの?
「でも、たまに出る敬語は許してね?笑」
「うわぁ…やばい…破壊力やばい、」
あいつ、神代さんのタメ口に心臓うち抜かれてる
…ちょっと負けた気分。
放課後、誰も居なくなった教室で問いただしてみた。
「ねぇ神代さん」
「何ですか??」
「圭人にはタメ口なのに何で俺は敬語なの?」
一瞬何言ってんの?って顔をされたけど、
「タメ口で良いよと言われたので…?」
「じゃあ俺もタメ口でいいよ」
「…それは、なんか違う気がするのでこのままで行きます」
なんで?!圭人は良くて俺はダメなのかよ…
可愛い妹に思春期が来た時の兄の気持ちになった。