自分の弱さを改めて認識して心の中で小さくため息をつきながらも、先程から気になっていた疑問を口にした。

「でも、急にどうして…?」
「ん?ああ。だって、向かう先は同じなんだし?今日も辰臣さんトコ、寄るだろ?」

そう当然のように言われて、少し戸惑った。
自分的には顔を出す予定はなく、もしも一人で帰っていたら迷わず真っ直ぐ家を目指すつもりだったから。
それが顔に出てしまっていたんだろうか。目の前の彼が意外そうな顔をした。

「あれ…なに?もしかして、寄らないつもりだった?それ聞いたら、ランボー悲しむぞー。ついでに辰臣さんもだけど」
「………」

だって、そんなに部外者の自分が頻繁に出入りして良いものなのだろうか?あの人にとっては、あの場所が大切な職場であるに違いないのに。
前回は、あまりに無垢な笑顔を向けられてしまい、誘いを断れず流されてしまったけれど、本来はあまり深入りするものじゃないと、いつもの予防線を張り始めている自分がいた。

(でも…)

今までなら、すぐに距離を取って関係を断ち切るところなのに、何故かこの人たちにはそれが出来ずにいる。ランボーのこととか、向こうのペースに乗せられてしまっている感もあるのだけど。でも…。

本当は、それだけじゃないと自分でも気付いている。

「まぁな…。いくら動物好きでも『救済センター』ってだけあって、基本的に辛い目にあってる動物たちばっか()の当たりにするし、決して楽しい場所ではないからな…。辰臣さん的には、あんたのことを凄く買ってて勝手に大きな戦力とみなしてる感があるけど、流石にそれも迷惑な話だと思うし。ま、無理する必要はねぇよ」