キーンコーンカーンコーン…


本日の授業全てが終了したことを知らせるチャイムが鳴り響くと、各教室からは生徒たちがぞろぞろと廊下へと溢れ出し、校舎内は途端に大きな賑わいを見せる。

「帰り何処か寄ってく?」
「カラオケいこーよ」
「いーね、行こ!」

ある教室の後方ドア付近に固まった数人の女子生徒たちが放課後の予定を立てながら話に花を咲かせている。

「ねぇ、アンタたちも行かない?」

傍にいた男子グループにも声を掛けると、

「おっ!いいぜ」
「行こー」

仲の良いメンバーなのか即、返事が返ってくる。

「他にも行く人いたら声掛けてよ。大勢で行った方が楽しいじゃん?」

そんな声が上がる中、一人の男子生徒が傍にいた女子生徒に声を掛ける。

「なぁ、女子は誰が来んの?」
「ん?今のところ来れるのはねー…」

順々に挙がっていく数人の女子の名に耳を傾けていたその男子生徒は、少しだけ不満げに首を傾げた。

「なぁ、月岡さんとかって一緒に遊びに行ったりしねぇの?」
「えっ?何?アンタ月岡さん狙いなの?」
「いや、そんなんじゃねぇけどさ。彼女あんま放課後遊びに行ったりしねぇのかなって」
「んー…私らもそんなに仲良い訳じゃないし分かんないけど…確かにあんま誰かと一緒に帰るとことか見たことないかもー」
「そうなんだ…?」
「悪い子じゃないし誘っても良いんだけど、いつも気付いたらいないんだよねー」

そう言いながら二人同時に教室内を見渡すが、その人物の姿はやはり見当たらないようだった。

「バイトでもやってるのかも?」
「…なるほど」