「そうなんだ?でも、いくら小鳥の雛が落ちていたって普通はそれを拾って巣に戻してあげようなんてなかなか出来ないことだよ。気にはなっても実際に行動に移せるコはそういない。野生の動物なら尚更、ね。場合によっては病原菌を持っていたりすることもあるから、本当は気を付けないといけないんだけど…」
「はあ…」
(…成程。そういう注意喚起をしたかったワケか。獣医さんとして…)
咲夜は呼び止められた意味をひとり悟った。
だが、男は「でも…」と言葉を続けた。
「君は優しい子なんだね。世の中、君みたいな人が増えてくれたら嬉しいのにな」
そう言うと、男は何故だか嬉しそうに笑った。
「………」
(何なんだろう…。このむず痒さは…)
そんな風に面と向かって言われて、いったいどうしろと言うのか。思わず反応に困って数秒フリーズしてしまったではないか。
咲夜は動揺を隠しながらも再び相手の様子を伺った。男は、にこにこと邪気のない笑顔を浮かべている。初対面の相手にこの人懐っこさ…。獣医だというから、コミュ力があると言えばそうなのだろうけど。
(普通に考えたら、ちょっと変な人だけど。でも、この人からは余計な声が聞こえてこない…)
何だか不思議な雰囲気の人だなと思った。
その後。
獣医と別れた後、咲夜は一人歩きながら改めて手にした名刺を眺めていた。
彼は別れ際、お願いがあると言い出した。
今日みたいに困っている動物がいたら連絡して欲しいというのだ。野生の動物は勿論のこと、保健所に連れていかれそうな犬や猫など、分かったら何でも教えて欲しいのだそうだ。
「はあ…」
(…成程。そういう注意喚起をしたかったワケか。獣医さんとして…)
咲夜は呼び止められた意味をひとり悟った。
だが、男は「でも…」と言葉を続けた。
「君は優しい子なんだね。世の中、君みたいな人が増えてくれたら嬉しいのにな」
そう言うと、男は何故だか嬉しそうに笑った。
「………」
(何なんだろう…。このむず痒さは…)
そんな風に面と向かって言われて、いったいどうしろと言うのか。思わず反応に困って数秒フリーズしてしまったではないか。
咲夜は動揺を隠しながらも再び相手の様子を伺った。男は、にこにこと邪気のない笑顔を浮かべている。初対面の相手にこの人懐っこさ…。獣医だというから、コミュ力があると言えばそうなのだろうけど。
(普通に考えたら、ちょっと変な人だけど。でも、この人からは余計な声が聞こえてこない…)
何だか不思議な雰囲気の人だなと思った。
その後。
獣医と別れた後、咲夜は一人歩きながら改めて手にした名刺を眺めていた。
彼は別れ際、お願いがあると言い出した。
今日みたいに困っている動物がいたら連絡して欲しいというのだ。野生の動物は勿論のこと、保健所に連れていかれそうな犬や猫など、分かったら何でも教えて欲しいのだそうだ。



