そう、必要などない。
それなのに何故、自分にはこんな能力があるのだろう。
人の心の内なんて知りたいとは思わない。
もう、囁きなんて聞こえてこなければ良いのに…。
咲夜は小さく溜息を吐いた。
佇む咲夜の前から男女の学生が二人、手を繋ぎながら並んで歩いてくる。
二人とも咲夜の学校とは違う、この付近にある私立高校の制服を着ていて、見た感じ仲の良い恋人同士のように見える。
そんな二人の会話が自然と耳に届いてきた。
「ありがと、純ちゃん」
「いいって。オレあんま金ないから安モンしかあげられないけどさ。少しでも喜んで貰えたら嬉しいよ」
「良いの。プレゼントは気持ちだもん」
「ささやかだけどさ、これから二人でお祝いしよーよ。どっか寄ってこうぜ」
彼女の誕生日か何かなのだろうか。楽しそうな二人が咲夜の横を通り過ぎてゆく。そんな時、小さな囁きが聞こえて来た。
『純ちゃん、人は良いんだけどセンス最悪…。流石にこのプレゼントはないって。それに、いつも割り勘当たり前だし。あーあ、やっぱ同級生じゃこの辺が限界なのかなぁ。どこかに年上のイイ男いないかなぁ』
「………」
咲夜は表情を変えず、歩いた。
聞こえてきた『声』をその他の『音』と同じように意識しないで聞き流せるように。
こればかりは、ただの気休めでしかないけれど。
幸せそうに見えた恋人同士が実は見せかけでしかなく、彼女の心は既に彼氏から離れてしまっているだなんて…。自分には知りもしない縁のない人たちだけど、だからこそ余計に、そんな深い内情など知りたくもなかった。
それなのに何故、自分にはこんな能力があるのだろう。
人の心の内なんて知りたいとは思わない。
もう、囁きなんて聞こえてこなければ良いのに…。
咲夜は小さく溜息を吐いた。
佇む咲夜の前から男女の学生が二人、手を繋ぎながら並んで歩いてくる。
二人とも咲夜の学校とは違う、この付近にある私立高校の制服を着ていて、見た感じ仲の良い恋人同士のように見える。
そんな二人の会話が自然と耳に届いてきた。
「ありがと、純ちゃん」
「いいって。オレあんま金ないから安モンしかあげられないけどさ。少しでも喜んで貰えたら嬉しいよ」
「良いの。プレゼントは気持ちだもん」
「ささやかだけどさ、これから二人でお祝いしよーよ。どっか寄ってこうぜ」
彼女の誕生日か何かなのだろうか。楽しそうな二人が咲夜の横を通り過ぎてゆく。そんな時、小さな囁きが聞こえて来た。
『純ちゃん、人は良いんだけどセンス最悪…。流石にこのプレゼントはないって。それに、いつも割り勘当たり前だし。あーあ、やっぱ同級生じゃこの辺が限界なのかなぁ。どこかに年上のイイ男いないかなぁ』
「………」
咲夜は表情を変えず、歩いた。
聞こえてきた『声』をその他の『音』と同じように意識しないで聞き流せるように。
こればかりは、ただの気休めでしかないけれど。
幸せそうに見えた恋人同士が実は見せかけでしかなく、彼女の心は既に彼氏から離れてしまっているだなんて…。自分には知りもしない縁のない人たちだけど、だからこそ余計に、そんな深い内情など知りたくもなかった。



